「家路」

「家路」 Nikon F5 AF Nikkor 80〜200mmf2.8D F8 AUTO +0.7

放射冷却で冷え込んだ朝、田んぼに残る点々とした動物の足跡。昨晩、里に下りてきて用事を済ませた後、何やらあたりを見回しながら帰る可愛らしい様子を想像させてくれます。そんな思いを寄せながら構図を決め、作画しました。  (木田 宏)

【選評】  辰野 清氏
冬の厳しさに耐え忍ぶ数本のススキの心象を、森をかすめた柔らかな光と浅い絞りによって印象的に描いています。光に誘導されるかのように背後の森へと続く足跡からも、この地に息づく小動物の心のあり様が見えてきます。ススキは冬の光にささやかな希望を求め、足跡は暗部の憂鬱に厳しい現実を伝えているのです。それを見つめる木田さんの優しい眼差しからも表現者としての思想の昂りが感じられ、内容的にも見ごたえのある作品です。
石川県白山市柳原町  1月中旬

2010年 隔月刊「風景写真」
1-2月号 テーマ部門 [氷雪]
最優秀作品賞

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